「エンジニアとして10年前後働いているのに、今の年収が適正なのか分からない」。これは、社内評価と転職市場の評価が別物だから起きます。
私はエンジニアとして複数社を経験し、転職は3回、現在4社目です。この記事では、求人票、スカウト、面談、公的統計、実質時給を組み合わせて、今の年収と市場価値を確認する方法を説明します。
結論:市場価値は「想定年収」ではなく5つの証拠で見る
- 同職種の求人票で提示レンジを調べる
- スカウトの職種・年収・送信主体を見る
- 複数エージェントへ同じ職歴を伝える
- 応募後の書類通過・面接評価を確認する
- 公的統計と現在の実質条件を基準線にする
1社の担当者が言った年収や、求人サイトの診断結果だけで判断しません。複数の証拠が同じ方向を示すかを見ます。
市場価値と現在の給与が一致しない理由
- 入社時の給与を基準に昇給するため、社外相場の変化が反映されにくい
- 会社の利益率、業界、地域、給与制度で上限が変わる
- 実績が社内では知られていても、職務経歴書で伝わらない
- 技術力以外に、設計、調整、マネジメント、業務知識が評価される
- 同じ「エンジニア」でも、職種と責任範囲が大きく違う
そのため、現在の給与が低いことは、能力が低い証拠ではありません。ただし、外部へ説明できない経験は、転職市場では評価されにくいのも事実です。
方法1:同条件の求人票を20〜30件集める
職種名だけで検索せず、次の条件を揃えます。
- 職種:モバイル、Web、インフラ、社内SE、PMなど
- 経験:年数ではなく、担当工程と責任
- 勤務地・リモート条件
- 企業規模と業界
- 必須技術と歓迎技術
- マネジメントの有無
最低額と最高額の中央だけを見るのではなく、自分が必須要件を何割満たすかを記録します。求人票の上限は、すべての条件を満たす候補者向けの場合があります。
方法2:スカウトは「誰が、何を見て送ったか」を確認する
スカウト件数の多さより、内容を見ます。
- 企業の採用担当から直接届いたか
- 職務経歴の具体的な箇所へ触れているか
- 募集職種と自分の経験が一致しているか
- 年収レンジと役割が書かれているか
- 一斉送信と思われる定型文ではないか
職務経歴を更新した前後で、届く求人の質がどう変わるかも市場価値のヒントになります。
方法3:2社以上のエージェントへ同じ説明をする
担当者によって得意業界と判断が違います。同じ職歴、希望条件、転職時期を伝え、次を比較します。
- 提案された職種
- 現実的と言われた年収帯
- 不足していると指摘された経験
- 強みとして評価された実績
- 紹介求人の必須条件との一致
高い年収を言う担当者が正しいとは限りません。実際に応募できる求人と、その理由まで説明できるかを見ます。
方法4:応募結果を最も強いデータとして使う
求人閲覧や面談は予測です。書類通過、一次面接、最終面接、内定条件は、より強い市場データになります。
| 結果 | 考えられる課題 |
|---|---|
| 書類で落ちる | 要件不一致、実績の説明不足、応募先の絞り方 |
| 一次面接で落ちる | 技術説明、転職理由、コミュニケーション |
| 最終面接で落ちる | 期待役割、条件、カルチャー、志望度 |
| 内定は出るが年収が低い | 役割の評価、交渉材料、給与テーブル |
1社の結果で決めつけず、似た求人3〜5社の傾向を見ます。
方法5:公的統計は「相場の地面」として使う
公的な賃金統計は、職種区分が広く、最新技術や企業差を細かく反映しません。それでも、年齢、地域、雇用形態を含む大きな基準線として役立ちます。
統計の平均だけで自分の年収を決めず、求人票と実際の選考結果へ重ねます。平均を上回っていても、責任や労働時間が大きければ良い条件とは限りません。
- 厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」:職業ごとの仕事内容・必要スキル・統計情報の入口
- e-Stat「賃金構造基本統計調査」:年齢、職種、企業規模などの条件を確認
公的情報の確認日:2026年7月12日。統計は集計区分と調査年を確認し、最新公表分を選んでください。
年収を左右しやすい7つの要素
- 担当工程:実装だけか、要件・設計・運用まで担えるか
- 成果:品質、速度、工数、売上、利用者に何をもたらしたか
- 責任範囲:個人作業、リード、採用、評価、予算
- 希少性:技術だけでなく、業務知識との組み合わせ
- 再現性:別の会社でも成果を出せる説明があるか
- 地域・働き方:勤務地、リモート、企業の採用範囲
- 会社側の余力:業界の利益率、事業成長、給与制度
実質時給で今の会社と求人を比べる
子育てや副業があると、年収より自由時間の価値が上がります。比較用として、次の時間を年間で足します。
- 所定労働時間
- 平均残業時間
- 通勤時間
- 休日・夜間対応
- 業務上必要な自己学習時間
比較用の実質時給 = 年間の手取り相当額 ÷ 年間拘束時間
福利厚生、退職金、在宅勤務、家事育児の分担も、金額または時間へ置き換えて比較します。
30分でできるスキル棚卸し
- 直近3年の案件を3つ書く
- 各案件で最も困っていたことを書く
- 自分が判断・実行したことを書く
- 前後で何が変わったかを書く
- 使用技術ではなく、再現できる能力へ言い換える
例:「Swiftを使った」だけでなく、「既存アプリのクラッシュ原因を切り分け、再発防止のレビュー手順を作った」のように書きます。
転職しない方がよい場合
- 今の会社で希望する役割へ異動できる可能性が高い
- 不満の原因が一時的な案件・上司で、改善時期が明確
- 生活防衛資金がなく、条件を比較する余裕がない
- 転職理由と次の条件がまだ言語化できていない
- 市場評価の確認前に、年収だけを理由に退職しようとしている
転職活動をして外の条件を知り、現職で交渉・異動する選択もあります。
市場価値を確認した後の行動
| 確認結果 | 次の行動 |
|---|---|
| 外部評価が高い | 応募、条件交渉、現職との比較 |
| 年収は同等だが働き方が良い | 実質時給・家族時間で判断 |
| 評価が低い | 不足経験を特定し、半年〜1年の獲得計画 |
| 評価がばらつく | 職種・業界を絞り直し、職務経歴書を改善 |
まとめ
今の年収が適正かは、診断ツール1つでは分かりません。求人票、スカウト、複数面談、応募結果、公的統計を組み合わせ、最後に実質時給と生活条件で判断します。
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